食育・台所育児から得る学び

-子どもの健やかな成長を願うすべての大人が知っておきたい食育の話-

食育・台所育児から得る学び

わかりやすく言うと、食育(しょくいく)とは、食に関する知識と技術を学び、食を通して得る様々な経験から、生きる力を身に付けることです。子供にとっても大人にとっても、大切な学びです。

特に、親子で食育に取り組むと具体的には、豊かな表現力、高い集中力、忍耐強さ、創造性と思考力などの力を育むことができます。

料理教室ラフチュール代表、管理栄養士、栄養教諭の三井眞理子が、「食育・台所育児から得る学び」について解説させていただきます。

Contents

食育に力を入れる意義

今後、世界はますます複雑となり、先が読めない不透明な時代になると言われています。既成の方法では越えられない壁が、子どもたちの前に立ちはだかることもあるでしょう。未来の世界を生きる子どもたちにとって、「創造的に考えられる」ことは、大きな「強み」となります。

例えば、米国特許取得数が23年間1位であり続けるIBM社も、未来のリーダーに最も必要とされる資質として、「創造性」をあげています※1。

これからの社会を生き抜くために不可欠な「創造性」。ところが、1990年代以降、子どもたちの創造性は低下の一途という調査結果※2も出ています。それは、なぜでしょうか。

ひとつには、日常生活の中で、子ども本人が自主的に自由に取り組むアクティビティが減っているためとされています。現代の子供たちは、決められた方法で決められた課題をこなすことに、多くの時間を費やしているといいます。

【参考引用文献】
※1IBM社「複雑さをいかに武器にするか」
※2教育学者Kyung Hee Kim「Smart? Yes. Creative? Not so much.」

台所育児とは

台所育児とは、料理研究家の坂本廣子さんが提唱している育児手法で、子どもと大人が一緒に台所でお仕事をすることによって、子どもを成長させていくことが目的となります。 「食べる」ことは、人が生きていくうえで欠かせない要素であることは言うまでもありません。しかし、その単純と思える行為には、様々な行動や意味、意図が宿っています。

自己認識力・自己統制力・動機付け・共感能力・社会的スキルなど「生きる力」を伸ばすメリットがたくさん詰まっています。

親子一緒に料理をすることで、子どもは大切な “何か” を感じ取るはずです。

農林水産省の食育の定義

食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるもの。

【参考引用文献】
農林水産省ホームページ

食育って何?:文部科学省

平成17年に食育基本法が、平成18年に食育推進基本計画が制定され、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう、学校においても積極的に食育に取り組んでいくことが重要となっています。

【参考引用文献】
文部科学省×PRICELESS

食育の現状 
子どもは「親と一緒に料理がしたい!」と思っている

食育が注目され、子どもの食が改めて重要視されるようになった昨今。

何を食べるかはもちろん大切なことですが、「料理をする」という行為自体にも教育的効果があると言われています。

成長過程にある子供の能力を向上させるために一緒にしたいことについて、小学生以下の子供を持つ親を対象にした都市生活研究所の調査※によると、一番多いのが「食事をする」ことで、次に選んだのが「料理をする」という結果が出ています。

「一緒に作って、一緒に食べる」という食に関する2つの行動を親子一緒にすることが子どもの成長にとってかけがえのないことだと考える親御さんが多いことがわかります。

子どもと一緒に料理をしたい母親は約9割、父親でも約6割にのぼっています。これは、子供の能力を向上させることだけでなく、子どもの心と身体を育む食育への関心の高さの表れとも言えるでしょう。しかし実際、一緒に料理をしている家庭は「月1日以下」が6割以上です。

ただでさえ忙しい日々の時間の中、親子一緒に料理をするのはなかなか難しいですよね。しかし「料理」には数え切れないほどの教育的効果があります。そんな料理体験の魅力をご紹介します。

【参考引用文献】
※東京ガス株式会社 都市生活研究所「作る楽しさ、本当のおいしさが、子どもを健やかに育む」

食育のメリット 五感が鍛えられるだけじゃない!
集中力や思考力も高まるメリットだらけの「親子料理」

毎日の食生活の中で親子一緒に料理をすることで、子供の表現力・集中力・創造力の3つの能力は大いに発達していきます。

内閣府の国民生活白書(H19)※でも、子供時代のお手伝いを通じて親とのコミュニケーションをよくした子供ほど、自分の考えを分かりやすく説明したり、感情のコントロールする能力が高い大人になる事がわかっています。

【参考引用文献】
※内閣府 国民生活白書(H19)「親とのコミュニケーションが大人になってからの行動に影響」

子どもが料理をすることで得られるメリット

食育のメリット

親子で料理をすることには、様々なメリットがあります。

お子様と食べ物や食に関するコミュニケーションが増え、食べ物だけでなく、自然や生き物などに対する興味関心が深まります。生きるために必要な食べ物を分かち合うことで家族としての絆がより一層強まります。

また、調理は手、包丁、ピーラー、キッチンバサミなど、色々な道具を使いますし、実際にさまざまな食材に触れることで、色や匂い、感触などにより五感が刺激され、知育や脳の発達に役立つというメリットも。そしてなにより、自分で料理を作ることができたという達成感は自信につながります。

①五感が磨かれる ―脳は6歳で90%が完成する-

調理をする際、私たちはいろいろな機能を駆使しています。味覚(味見をする)、触覚(切ったり混ぜたりなど食材を触る)、嗅覚(調理中の匂い)、視覚(素材の色や調理によって変わる食材の色)、聴覚(トントンと切る音やジュージューと焼く音など)、いわゆる五感です。料理という一連の行動でフル稼働する五感によって、脳が活性化され、子どもの感性はどんどん豊かになっていきます。 また、お料理は指先をたくさん使います。実は、手の指は「突き出た大脳」といわれるほど、脳の発達に大きく関わる部分。脳は、3歳までに80%、6歳までに90%、12歳までに100%にまで著しく成長をします。料理をすることで多くの機能の発達につながっていきます。

②好奇心を育む -自己肯定感が育まれ、自信や意欲も高まる-

料理は実験と同じです。火を通すと変化する色や質感、食材の組み合わせで変わる味や食感など、実体験することで興味を掻き立てられる要素がふんだんにあります。

はじめは親の言うとおりにやっていても、だんだん想像力が働くようになって、「こうしたらどうなるかな?」とアイディアも湧いてくるはず。このとき、ぜひ親御さんも一緒に新しい発見を楽しんでみてください。

多くの手順がある調理は「小さな成功体験」を積み重ねる作業ですから、自己肯定感を高めることになり、「目標を達成できる!」という「自己効力感」も高めることに繋がります。

③達成感が得られる -達成感を味わい、責任感が培われる-

日本人の子どもたちは、外国の子どもたちと比べ自己肯定感が顕著に低いことが問題とされています。

料理をして小さな成功体験を積めば、自己肯定感と自己効力感を高められ、任されたお手伝いを最後までやり遂げることで、達成感を味わい、責任感が培われるでしょう。そして家事の一端の料理を担うことで、「自分も家族の一員である」という意識が高まります。

④感謝の心を育む -食や人への感謝の心が生まれる-

作ってもらって食べるだけでは分からないことに気づけます。親が忙しいなか料理する大変さや、美味しい野菜を作る農家の人の苦労など、料理をすることから見える世界が広がり、人や物を大切にする気持ちや感謝の心を育むことができます。

⑤親子のコミュニケーションが増える ―信頼関係が強くなる-

共同作業はコミュニケーションに最高の効果があります。親子で料理をつくるときには、相対するのではなく基本的に横に並びますよね?

狩りをして生きていた時代の名残なのでしょうか。相対する相手に対しては、人間は本能的に「敵」だとみなします。一方、横に並ぶ相手は「味方」、大事な存在だとみなすのです。

つまり、親子が同じ方向を見て並び、おしゃべりをしながら料理をつくることは、親子の絆を深めることになる。きっと、親子の関係をより良くしてくれるはずです。一緒に料理する習慣ができれば、子どもの知識も増えてきますので、お買物のときにメニューの相談や食材や調理法などについての会話も増えます。

また、親子で料理している頻度が高いほど、家族が仲良しで幸福感が高いという調査結果も出ています。

食育で得られる力とは?
“将来必ず必要になる”3つの能力

親子一緒にすると向上する!子どもの3つの能力

子どもの発達はそれぞれ個人差がありますから、調理を経験させるべき適正年齢というものはありません。「子どもが料理に興味を示したとき」が、そのチャンスだと思ってほしいのです。

料理をしている親の姿をじっと見つめたり、「やらせて」といってきたりする子どももいます。そのタイミングは、早い子どもなら2、3歳くらい。ピークは5歳頃です。料理をすることで発達する、“将来必ず必要になる” 3つの能力についてみてみましょう。

①豊かな表現力

調理中には様々な食材に触れます。できるだけたくさんの食材に触れさせることにより、食物に興味を持ち、丸い・三角・四角などの形や、緑・黄色・赤などの色や、ツルツル・サラサラなどの感触を表現する言葉を覚えたり、野菜の種類や肉や魚などの名称を覚えることで語彙が増え、言葉や表現力が発達します。

このような調理などのお手伝い効果は「自分の考えをわかりやすく説明できる」「感情コントロールがうまくできる」「率先して行動できる」といった将来の仕事能力につながると、内閣府の調査結果※で証明されています。

親子で一緒にいろいろな話をしながらお手伝いをすることでコミュニケーション能力はめざましく発達します。まずは親子が一つのことに取り組む時間や空間が何より大切ですね。

【参考引用文献】
※内閣府 国民生活白書(H19)「親とのコミュニケーションが大人になってからの行動に影響」

②高い集中力、忍耐強さ

年齢に応じて作業目標を決めることで集中力が増し、達成感を得やすくなります。達成の満足感は次への意欲にもつながり、頑張る気力と忍耐力が育まれるプラスのループに。

例えば、1~2才でもできるプチトマトやイチゴのヘタを取る・枝豆をサヤから出すといった作業なら、1パックや1束をまかせるなど目に見える目標を設定しておくといいでしょう。ケーキの生地や卵をまぜる作業なら粉が見えなくなるまでまぜてね!と声かけをしておくと作業の終わりが見えやすくなり、最後までやりきった子供は達成感を感じやすくなります。

この「ひとつのことに集中して取り組む」ルーティンは、家での学習習慣にも好影響を与えることがわかっています。

集中してひとつのことを達成できた子供には、次の作業へ取り組む前向きな意欲もわいてきます。

「幼児期の集中の経験と小学校での学習」に関する調査結果※では、幼児期に集中して取り組み、身の回りのさまざまなことに興味を持つ経験は、小学校に進学してからの「机に向かったらすぐに勉強にとりかかる」「勉強が終わるまで集中して取り組む」といった、「良い学習習慣の定着に関係している」と発表されています。

ひとつの作業に集中して取り組むことは忍耐が必要なことでもあるので繰り返し経験していくことで、集中して忍耐強くひとつのことに取り組むことのできる子供に成長します。

【参考引用文献】
※ベネッセ教育総合研究所 「幼児期の集中の経験と小学校での学習」

③創造性と思考力

親子で一緒に料理をしながら、料理のプロセスを見せて興味を持たせることは子供の創造力を高めます。年齢的にまだ危ないからとキッチンから遠ざけるのではなくハイチェアに座らせるなどして安全な位置において料理のプロセスも積極的に見せましょう。

料理には創意工夫が不可欠です。バランスを考えながら食材を組み合わせ、完成形を想像しながら、計画的に作業するという、クリエイティビティと論理性が必要な知的作業で、創造力と思考力がかなり鍛えられます。

野菜を切るほうが先か、それとも鍋を火にかけるほうが先か――、お子さんはどちらを優先するのでしょう?料理はそれ自体がいくつかの材料を組み合わせながら、調味料との相性を考え、段階を追って最終形を創り出すという、思考力をはたらかせる創造的なものです。

子どもの「内発的なやる気」を引き出すたった一つの方法

勉強であれスポーツであれ、意欲的に取り組める子どもになってほしい、子どもの「やる気」を引き出したいと願う親御さんは多いでしょう。でも、なかなか親の思い通りにはならないのが子どもであり、現実です。

食育|子供のやる気を引き出す方法

①料理は成功体験を積み重ねるプロセス

料理というのは、わずかな時間でその一連のプロセスを完結できる素晴らしいものなのです。

どんな料理をつくるかという課題を決めて、レシピや調理の手順という計画を立てる。その計画を実行してつくった料理を食べれば、美味しかったかどうかという評価、振り返りもできる。

仮に失敗や反省すべきことがあれば、それは「次」への課題になります。しかも、その「次」は、それこそ翌日にだって試せるものです。成功体験を重ねるというプロセスを、どんなことよりも手っ取り早く家庭でもできるものが料理。「またやりたい」「次はこうしよう」と内発的なやる気が自然と身につくのはとても魅力ですね。 

②誰でもやる気にさせる魔法の言葉は存在しない

しかしながら、誰にでも「やりたい!!」という気持ちがあるわけではありません。この言葉をかけたら「子どもがやる気になる」というような魔法の言葉は存在しません。

「やる気スイッチ」という言葉は、ポンッとスイッチを入れるように簡単に子どものやる気を引き出す方法のように聞こえますが、やる気というものは、コップに水が少しずつ溜まっていくように徐々に蓄積していくもの。

その水を溜めるには、日頃から子どもと関わり、声かけをするなどまめにコミュニケーションを取るしかありません。そうして徐々に溜まった水がコップいっぱいになり溢れはじめると、ようやくやる気も溢れ出すという状態になるのです。

しかし、具体的にどんな声かけをすればいいのかというとひとことで表現するのはとても難しい。というのも、子どもにはそれぞれに個性がありますし、万能に効く言葉はこの世に存在しません。だからこそ、料理を通して子どもの個性を見つめるよき時間になると思います。

③親が一緒に楽しむことで、子どもの内発的なやる気を生み出す

ご褒美を嫌う親御さんは、「ご褒美で起こしたやる気なんてすぐになくなる」と考えます。たしかにそれには一理あるかもしれない。

でも、子ども自身の内側からやる気がみなぎるのをただ待っているだけではなにも変わりません。そうではなくて、ご褒美で出させたやる気が消える前に、内発的にやる気が生まれるように変える必要があるのです。

いわばこれは、バーベキューのときの着火と同様の原理です。ご褒美は最初に火をつける新聞紙のようなものだと考えてください。そこに新聞紙をただどんどん足していくだけでは、肝心の炭には火がつきません。炭に火をつけるのが目的だとわかっていれば、新聞紙をどう使えばいいのかがわかるはずなのです。

ご褒美否定派の人は、それこそ勝手に炭に火がつくのを待っているだけの状態……。それでは、なかなかやる気を引き出せるものではありません。

では、ご褒美という新聞紙でどのように炭に火をつけるのか。それは、「親も一緒に楽しみ褒める」ということに尽きます。一緒に楽しむことで、料理の過程などを褒め言葉のご褒美を与えていきます。内発的にやる気を生み出すものは、いかに言語報酬(言葉のご褒美)を与えるかといっても過言ではありません。

親子クッキングを始める前に子どもに伝えたい3つのこと

料理で怖いのは、怪我をしてしまうこと。真剣にやらないで、ふざけてしまったために起こる事故が一番危険です。

包丁を振り回したり、大やけどをしてしまったり、手洗いを徹底せずにバイキンの温床を作ってしまったり…。料理を始める前に、まず大人が、火・刃物・バイ菌の3つのことを説明して、危険なものを理解させることが大切です。

①火について

最初に、火の近くでちょっと手をかざして“熱い”を体感してもらい、火を扱うときは真剣に取り組むこと、大人がいないときは絶対に火はつかってはいけないことを伝えます。

その代わり、実際に使うときは「思い切ってやってみよう」と、危険性を伝えた後に信頼させます。「危ないからダメ」と遠ざけず、多少の怪我は覚悟で、小さいうちからどんどん慣れていってもらいます。

レッスンでも「怖いから嫌」という子は、まだタイミングではないのかもしれないので、やりたくなるまでその子の時期を待ち、無理強いはさせません。

②刃物について

包丁は鉛筆やお箸と一緒で、持ち方が大切。刃先がギザギザや丸みのあるものなど様々な子ども用包丁がありますが、あえて本物を使用します。

手首を固定して刃先に力をかけることは大人には容易でも子どもの手にとっては力加減が難しいです。そのため、あえて力が弱くても切れるよう大人と同じ本物の刃先の包丁を使っています。

しかし、だれでも使ってよいではなく包丁デビュー月齢の見極めがあります。感情が高ぶっているとき「止まって!」と言われて止まれない子は、まだ包丁を握るには不安も募ります。そんなときは、パン作りなどで使うスケッパー(カードともいう)で、切るという体験を味わっていきます。

刃物を扱うときはひとりでやってみて、もし間違っていたら「それもいいけど、こっちにしてみようか」と否定はせずに、やりやすいやり方を教えていきます。

親子クッキングの注意点

③バイ菌について

子どもはバイ菌という概念もよくわからないと思うのですが、『汚い手で作った料理を出されたら嫌だよね』と伝えて、作り手として成長してほしいなと思います。

手洗いをしたのに、床を触ったり鼻をほじったり・・・。何度も言うのはイライラしてしまうと思うのですが、子どもに『この間言ったでしょ?』は通用しないので、大事なことだから何度でも伝えていく忍耐が必要です。

食育・台所育児で親が心がけるべき5つのこと

何より重要なのは「失敗しても大丈夫」と伝えること。多少手順が違っても料理はできますし、失敗から学ぶことはたくさんあります。叱らず前向きに促すスタンスが、料理好きな子どもを育みます。“親子料理” で親に必要なのは、寛容と勇気と忍耐なのかもしれません。

①最初は、分かり易く説明し、お手本を見せる

耳よりも目から理解する子どもに言葉だけで伝えても、分かりにくいことがあります。最初は親がお手本を見せ、手順ややり方を説明し、一度一緒にしてみて、その後、子どもに任せていきます。

②時間がかかっても任せたお手伝いは最後までさせる

子どもに任せると時間がかかり、親としてはつい手を貸したり、途中で「ママが代わるわ」と、言いたくなることもあるでしょう。もちろん、思うようにできず手伝ってほしいとSOSを出されたら手や口を貸しますがそれまではぐっと口出ししたくなる気持ちを我慢します。

子どもはやり遂げたとき、「楽しい」「ママの役に立った」「嬉しい」という気持ちから、更なる意欲に繋げることになります。

③失敗しても叱らず、子供の気持ちに寄り添う

例えば、卵を割ってしまったとき「なんで割っちゃったの?」と言ってしまうとそこで終わり。“成功へ一歩、また近づいたね”というスタンスでいてあげることが一番大事です。

プラスの発想ができるように、失敗してしまっても、それが生かせるということを、実体験を通して感じてもらう。もし卵を床に落としてしまったら、「大丈夫。少し強く(テーブルに)トントンしちゃったね。じゃあ今度はもう少し優しくトントンしてみようか」と声をかけて、失敗とはみなさないようにします。

④安全に留意し、無理なお手伝いは頼まない

子供が料理に慣れ、スキルが高まってくると、更に他のお手伝いもチャレンジしてほしいもの。ですが、難しいお手伝いを急に頼むのはやめましょう。

子どもの「やりたい!」の気持ちに寄り添った料理をすることが大前提ではありますが、やりたい気持ちのきっかけにどうしても大人は、これもしてみない?と言いたくなるもの。ですが、子供のスキルとやる気を見ながら、順に難易度をアップしていきましょう。

⑤「ありがとう」の感謝の気持ちを伝える

子供がお手伝いを終えた時には、必ず「ありがとう」と感謝の言葉を伝えましょう。

「ママ、とっても助かったわ」「○○ちゃんが手伝ってくれたら、いつもよりおいしいね」「玉ねぎの皮、きれいにむいてくれてありがとう」などお手伝いによって、親が助かったことや感謝の気持ちを伝えることで、子供は達成感や喜びを感じ、自信や更なる意欲に繋がっていきます。

(2022年8月2日)

三井眞理子

この記事を書いた人

料理教室ラフチュール 管理栄養士 三井眞理子

メディア情報

  • 神奈川新聞2021.2.25
  • 三菱食品MSスクエア 5月・6月号
  • フジテレビ FNN LIVE NEWS イット!2021.5.8
  • テレビ神奈川 かなガワニ海 2021.9.4

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